女子サッカーの頂き

スウェーデンに勝ってしまった。正直、今回の五輪では決勝トーナメント進出どまりかと思っていた。
もちろん「なでしこJAPAN」の実力が足りないというわけではない。澤穂希の離脱、山本絵美の故障が痛く響くと思っていたからだ。

実際、澤の動きは良くなかったし、山本のいない左サイドは守備的な小林弥生が押し込まれ、再三のピンチを作ってしまっていた。
上田栄治監督は山本の役割を安藤梢に託し、相手右サイドの選手を押し下げようとしたがこれも失敗に終わっている。澤は後半存在を感じないほどに重い動きになり、守備に奔走して中盤のつなぎもままならなくなっている。

心配は的中していた。

しかし、それ以外の選手たちの成長は予想を大きく上回っていた。

山岸靖代の危なっかしくも見事なおしゃれディフェンスはことごとく成功し、磯崎浩美下小鶴綾の連携は予選の頃が数年も前かのように円熟味を増していた。
川上直子の一人スルーパスは成功こそしなかったものの相手のラインを下げる効果を発揮し、フリーキックの際の相手ディフェンスの混乱を招いた。

中盤は、とにかくボールサイドに走り回り、プレスを切らせることなく動き回る。それでいて宮本ともみがゴール前にも顔を出す。明神かお前は・・・
小林のアクロバティックな右足アウトサイドでのスルーパスも素晴らしかった。

そして2トップ。荒川恵理子は突破突破突破!あそこまで徹底すればラインを上げづらい。
逆に裏を狙う大谷未央。結果的に流れからの得点は生まれなかったがこの2人のコンビはこの後も日本の中核になるだろう。

おそらくストッパーとして投入された丸山桂里奈は試合の流れに入り込んでしまった感じ。持ち味は出せないままだったがスウェーデンのディフェンス相手にあたり負けはしていないので次戦は問題ないだろう。
最後に投入された柳田美幸はチームを活性化させてはいたが、最後のシュートを打たせてしまったのが残念。

このチームはおそらく日本女子サッカー史上の頂点に位置すると思われる。その頂が何色のメダルなのか、それとも五輪の勝ち点で終わるのか。前者にするためには次戦が非常に重要となる。